『告白〜コンフェッション〜』福本伸行(原作)、かわぐちかいじ(作画)
講談社
2001年1月23日
★★★☆
2年に1度、某大学の山岳部OBの間では標高3,200メートルの尾張山を登ることが慣習となっていた。今回も何人かで登山をする予定であったが、急遽都合が悪くなった者が続出したため、浅井(画像左)と石倉(画像右)の2人だけで登ることになった。途中、石倉が足を滑らせて崖に激突し、そのために足を骨折してしまい、たくさん出血をしてしまう。猛吹雪の雪山で負ったその怪我は致命的であり、石倉は死を覚悟する。そしてその時、石倉はある「告白」をする。大学時代に、当時の浅井の彼女であったさゆりを殺したのはオレなんだと……。雪山の小屋に閉じ込められる密室サスペンス作品。
『賭博黙示録カイジ』の福本伸行と『沈黙の要塞』のかわぐちかいじの両ヒットメーカーによる贅沢なコラボレーションが味わえるのが本作『告白〜コンフェッション〜』。この作品の一番の魅力は「猜疑心」の描写。死を覚悟した石倉は、過去にさゆりを殺したことを「告白」をするのだが、すぐ後に山小屋を発見してしまったから、さぁ大変。そこは電話が繋がっており、山岳救助隊に連絡したところ、天候の落ち着く明後日には救助に来るということになった。救助隊がやってきて無事に下山できた日には……浅井は石倉の犯した殺人を「俺は絶対に言わない」と言うが、それが石倉には信じられるだろうか? また、浅井は浅井で石倉の変調に気付き、もしかしたら自分が殺されるのかもしれないと不安を抱く。この瞬間、両者の信頼関係にひびが入ったわけだ。
あとはひたすら猜疑、猜疑、猜疑。猛吹雪の雪山の小屋という密室状況におけるこの2人だけの状況が、ものすごく緊張感のあるものとして描かれていて面白い。少しでも油断したら間違いなく殺される……「ハラハラドキドキ」なんて表現すると実に安易だが、それがピッタリ当てはまる作品だ。会話よりも心の声の描写が多いのだが、さすがは福本伸行、過剰でアクの強い心理描写が強烈だ。やり過ぎてギャグ一歩手前、あるいは完全にギャグみたいな状況になってしまうのもこの人の魅力だろう。また、作画を担当したのはかわぐちかいじなので、恐怖感漂うシリアス展開も大丈夫だ(とはいっても、つい笑ってしまいそうになったシーンもあったが)。
また、後半に入ると浅井もある「告白」をするのだが、それを聞いてからの石倉の態度の変わりようがまた実にカワイイ(笑)。あれだけのことをしといて、よくああも簡単に態度を変えられるものだ。そして、驚愕の結末のあとに、最初のページにあった「聞いてしまったあいつが・・・・悪いのだ・・・・!!」が効いてくる。ここで「そうか、本当はこういう意味だったのか!」と勘違いしていたことに気付く。このセリフは「彼」のものだったのだ。最後まで読んでみると、このセリフをこのように見せたいがために描かれた漫画だったように思える。雪山サスペンス、極限状況によるバトルに興味がある人にオススメ。
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